花屋・藤沢研の藤沢です。
我々は、無機半導体と有機化合物の電子状態を化学結合により強く電子混成させることにより発現する無機-有機界面での電荷移動遷移に着目し、界面電荷移動遷移が示す光吸収・電子移動・発光特性に基づく新規な光・光電子機能材料を創製することを目的に研究を行っています。無機-有機界面での電荷移動遷移は次に示す特徴を有する比較的新しい電子遷移です。
@有機化合物から無機半導体への直接的な光キャリア注入
A幅広い波長領域での光吸収
B化学修飾による高い波長制御性
これらの特徴をもつ界面電荷移動遷移は太陽電池をはじめとする太陽光エネルギー変換や無色生体分子の可視光検出等への応用が期待されています。界面電荷移動遷移の光吸収強度は無機半導体のナノ物質(ナノ粒子、ナノワイヤ等)を用いることで大幅に向上することから、我々は無機半導体ナノマテリアルと様々な有機π共役分子を組み合わせた新規複合物質の開拓から界面構造・基礎物性の解析、そして応用展開までを視野に入れて研究を行っています。
研究テーマ
基礎研究
・チタン酸化物ナノ粒子-有機複合体
(Fujisawa et al. J. Phys. Chem. C. 2016, 120, 21162)
・シリコンナノ粒子-有機複合体
(Fujisawa et al. Chem. Phys. Lett. 2017, 684, 285)
・ヨウ化鉛ナノワイヤ-有機複合体
(Fujisawa et al. Phys. Rev. B 2004, 70, 113203)
・無機-有機界面における電子注入特性の解析
(Fujisawa et al. J. Phys. Chem. C. 2017, 121, 18710)
応用研究
・界面電荷移動遷移による高速キャリア注入で動作する光電変換素子と太陽電池
(Fujisawa et al. Chem. Phys. Lett. 2015, 619, 180)
・無色生体関連物質の可視光検出
(Fujisawa et al. ChemistrySelect 2017, 2, 6097)
・バイオイメージング用発光材料